第5章 マンションに関する注意事項

マンション特有の権利と制限

1.区分所有権とは

一棟のマンションの建物について各住戸部分(専有部分)は各区分所有者が単独所有しますが、その他の躯体部分(例えば廊下、階段、エントランス等)のように各区分所有者が単独所有できない部分(共用部分)があります。つまり区分所有の対象となる一棟の建物は、専有部分と共用部分とから成り立っているわけです。また構造上分割できない一棟の建物を区分所有するのですから、建物やその敷地等を共同管理する必要が生じます。こうした複雑な建物の所有関係や建物・敷地を管理する機構・方法等について規定している法律が「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」です。

2.管理規約・使用細則とは

「管理規約」は区分所有者の円滑な共同生活の維持のために、区分建物や敷地の管理・使用に関して区分所有者が自主的に定めたルールで、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で設定できることになっています。例えばマンションの専有部分は住宅の用以外に使用してはならないとか、敷地のある特定箇所を駐車場として使用させるといった事項等を規約で決めていきます。新築の分譲マンションなどでは、分譲業者が作成した管理規約案を予め購入者に提示し、購入者に対し承認を得る方式(規約承認販売方式といいます)が取られることが多いようです。 また、「使用細則」は、マンションで生活するための細かいルールです。

3.専用使用権について

マンションのような区分建物の共用部分や敷地の一部について、特定の区分所有者や区分所有者以外の第三者が、定められた用法に従って排他的に使用収益する権利を専用使用権と呼んでいます。この専用使用権は、正当な手続きを経て設定された規約で定めることが必要です。

マンション特有の費用

1.管理費とは

マンションの場合、毎月管理費を支払うことになります。マンションの共用部分や共有施設、さらにその敷地の維持管理に充当するための費用が管理費です。具体的には、管理員の給与や清掃会社への支払い、電気・水道などの光熱費などの経費です。 管理費はマンションの区分所有者が支払い、原則として、専有部分の床面積の割合に応じてその負担割合が決まります。

2.修繕積立金とは

建物の小修繕、設備の部品交換等は日常的に発生する修繕項目として通常の管理費一般会計で処理されます。しかし年月が経過すると建物の部位について大規模修繕が必要になってきます。例えば、外装工事、防水工事、鉄部塗装替え工事、給水管更生工事のような大規模なものは工期も長期になり費用もかさみますので、居住者区分所有者がその費用を一括して負担することは困難です。よって、毎月修繕費用を積立てています(修繕積立金といいます)。 中古マンションを購入する場合は、この費用がどのくらい積立てられているのかという点を必ずチェックしておきたいものです