第3章 物件選びと情報収集

どんな物件を選ぶか

1.物件選びその1 マンションか一戸建てか

住まいの意識調査では一戸建志向が多いのですが(国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」)、設定した購入総額の範囲内で一戸建住宅が取得可能ならそれも良い選択でしょう。最近は都心でも、3階建て100m²未満の一戸建て住宅が供給されており、価格面から見ても同程度の広さのマンションと遜色ありません。また、定期借地権(一定期間土地を賃借する形態)の場合は、契約期間終了後(通常の場合は50年)、住宅を取壊して地主に土地を返還することになりますが、納得できるならそれも選択肢の一つといえるでしょう。 マンションは土に親しめない欠点があるといわれますが、1階の専用庭付きマンションを求められれば可能です。また、マンションは増改築ができないといわれますが、一戸建も大抵は容積率・建ぺい率が限度一杯に使われていますので自由に増改築できる訳ではありません。 全てが満足できる物件を探すことはむずかしいですから、自分や家族にとって重要な事柄を考慮し、価格面とのバランスをとりながら、ライフスタイルにあった物件の選択を行うことが大切です。

2.物件選びその2 新築か中古か

価格や立地などの条件が同じであれば、中古住宅よりも新築住宅のほうが良いに決まっています。ただし、同様の立地条件で同様の設備を備えていれば、新築住宅の価格が高くなります。 中古住宅を取得する場合の判断基準は、限られた資金計画の範囲内で、物件の立地・環境・間取り等の諸々の条件を総合的に判断し、新築住宅よりも自分の求める諸条件になるべく近いものであるかどうかという点です。 例えば、「職住近接」を実現することが最も重要であるならば、都心のマンションを選択することになるでしょうし、「子供のための広い間取り」が希望であれば、郊外の中古マンションや一戸建住宅を選ぶのも良いでしょう。 また、中古住宅は新築住宅に比べ、融資や税制上の優遇が受けにくいといったデメリットもあります。しかし、新築住宅は完成前に購入を決めなければならない場合がありますが、中古住宅の場合は物件のチェックができる利点があります。

物件情報の収集と読み方

1.物件情報はどうやって集めるか

良い物件との巡り合いの機会は、物件情報量と正比例するといわれています。物件情報を入手するには次のような方法があります。

(1)情報アンテナを張り巡らす

分譲時に人気沸騰するような物件の情報を集めるには、新規分譲を行う不動産会社の「友の会」などに複数入会しておくことが有効です。また、その他新聞広告等の媒体も丹念に注視していき、新築・中古情報は専門の住宅情報誌を定期購読して最新の情報を取り寄せるなど積極的な情報収集が必要です。

(2)インターネットを利用する

沿線、間取り、価格等について広い範囲から素早く情報を得るには、インターネットで情報を収集するのが最も適していると思われます。

(3)チラシ広告、折り込み広告等

住まいの近くの物件情報は新聞に折り込まれるチラシ等が役立ちます。この情報の読み方には注意が必要となります。不動産広告には各種規制法令があり、特に不動産公正取引協議会が設定した「公正競争規約」は、広告表示の必要表示事項、特定事項の表示義務と表示の禁止、表示基準、特定用語の使用基準、不当表示の禁止等を定めています。主な不動産業団体に加盟している不動産会社は、この規約を遵守する義務を負っています。 しかし、一部の悪質な不動産会社が、時としてチラシなどに不当な物件表示をして惑わすことがあります。「掘出しもの」とか「格安」といった類いの表示は禁じられているので注意が必要です。

(4)不動産会社を訪問する

物件情報を出している不動産会社は「売主」会社や「販売代理」会社の場合もあれば、「売買仲介」会社の場合もあります。 仲介会社の場合、買主の依頼に基づいて物件探しから交渉、契約までをサポートしてくれますから、忙しくていろいろと動けない人や、物件とその物件を販売している不動産会社の所在地が離れている場合、「物件所在地近辺の不動産会社に取引を依頼したい」という人にメリットが大きいと言えるでしょう。当サイトでは、入居者の立場に立って取引をサポートしてくれる売買仲介不動産会社を「バイヤーズ・エージェント」と呼んでいます。

2.不動産広告の読み方

マイホーム獲得には、購入しようとする物件の判断に関するいろいろな知識が必要になります。しかし最終的には物件との出会いが決め手となります。物件との出会いは通常物件広告が媒介します。次のような事柄に配慮して、悪質な表示による誘引に注意してください。

(1)誇大広告・おとり広告にだまされない

著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものより著しく優良であるとか有利であると誤認させるような表示(誇大広告)を掲載し、また顧客の誘引を図るためのおとりとして虚偽の広告を公開する業者がいます。これは宅建業法第32条で禁止されています。

(2)誤認期待表示にひっかからない

完全、万全、絶対、日本一、当社だけ、最高、特選、厳選、格安、買い得、掘出し物等々の表示は具体的事実に基づき、事実を併記する以外には使用できません。また、不動産広告では、実際に販売する価格以外の「○割引」や「○○万円引き」といった二重価格表示は禁止されています。こうした表示をあえてする不動産会社の物件は最初から敬遠しておいた方が無難でしょう。

(3)不当誘引性の強い表示に注意する

市街化調整区域の土地は宅地造成や建築ができない旨、道路に適法に接しない土地も建築できない旨を表示しなければなりません。セットバックしなければならない土地はその不利益が分かるような表示を行う必要があります。特定事項の表示義務に関して、意味不明瞭な広告物件は敬遠しておいた方が良いでしょう。

(4)不動産広告の表示基準を知っておく

不動産広告の表示基準には、代表的なものとして次のようなものがあります。
  • ・電車、バス等の交通機関は、現に利用できるものを表示し、特定の時期にのみ利用できるものは、その利用できる時期を明らかにして表示する。
  • ・徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示する。
  • ・「新築」とは建築後1年未満であって、使用されたことがないものであること。

(5)物件情報への業者の関わり方を知る

その物件に対して広告を掲載した不動産会社がどのような関わり方をしているのかを知っておくことは後々重要な事柄です。例えば、売主として関与しているのか、売主を代理しているのか、媒介(仲介)しているのかといった事柄で、不動産会社はこの取引態様を明示するように義務付けられています。 これについては、『物件情報はどうやって集めるか』のさらに詳しく知りたい方へ を参照してください。 一般の方が不動産の売買価格が妥当なのかを判断するのはかなり困難です。 ただし、REINS Market Informationでは国土交通省が成約データを加工し一般の方々に提供していますから参考にしてみてはいかがでしょうか?

不動産会社との関係を知っておこう

1.媒介契約とはなにか

不動産の売買や交換の仲介を不動産会社に依頼する契約を媒介契約といいます。不動産会社がこの媒介契約を締結したときには、物件特定のための必要表示、売買すべき価額・評価額、媒介契約の種類、有効期間、解除に関する事項、成功報酬額等を記載した書面を作成し、記名押印して、依頼者に交付すること等が義務づけられています。