第4章 知っておきたい法律上の制限

用途地域と市街化調整区域について

1.用途地域によって建物の用途が決まる

土地利用をすべて私人の判断に任せると、良好な住宅地の中に突然高い建物が建てられたり、騒音や悪臭を発する工場が突如できたりして環境が破壊されます。 こうした事態にならないように法律で多くの地域地区を定め、建物用途の純化と環境との整合を図っています。 地域地区の代表的なものが用途地域で、全部で12種類あります。良好な住宅環境の確保や商工業の利便の増進を目指し、地域別に一定の用途の建物の建築を制限しています。

2.市街化調整区域に注意しよう

自然的・社会的条件等を勘案して、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域について、「都市計画区域」を都道府県が指定し、さらに無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域に区分している場合があります。 市街化区域は、簡単に言うと「マイホームに選べる土地」といえます。既に市街地を形成している区域やおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域が市街化区域として指定されているからです。 市街化調整区域は、市街化を抑制する区域ですから、原則として開発行為や建物の建築が禁止されている区域です。

建ぺい率・容積率と道路について

1.建ぺい率・容積率とは何か

土地には用途地域の制限のように建物の使われ方を規制するもののほか、建物の規模や形態そのものを規制する形態規制があります。この規制のなかに、「容積率」と「建ぺい率」等がでてきます。

(1)容積率(建築基準法第52条)

「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合」を容積率といいます。延べ面積とは各階の床面積の合計のことです。市街地の地価は高く土地は限られているため、有効に利用される必要があります。しかし建物のボリュームを規制しないと公共施設の整備水準以上に建物が建ち、道路が混雑したり、下水道が溢れたりして良好な環境を維持できなくなります。そこで容積率の制限を用途地域別に定めています。

(2)建ぺい(蔽)率(建築基準法第53条)

「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合」を建ぺい率といいます。真上から敷地(建築物)を見おろした場合の「敷地が建物で蔽われている比率」が建ぺい率なのです。 市街地は地価が高いため、容積率だけでなく建ぺい率も高くなりがちです。これを放置しておくと敷地目いっぱいに建物が建てられ日照・通風・防災等良好な環境や安全性を確保できなくなります。そこで建ぺい率の制限を用途地域別に定めているわけです。

2.「道路」で土地の価値が決まる

不動産の善し悪しを判断する上で、その土地の「道路付け」は極めて重要な要素となっています。自分の敷地に建物を建てるには、その敷地が建築基準法上の「道路」に接していなければならないのです。 建築基準法では、道路法等による幅員4m以上のものが道路として取り扱われ、例外として一部4m未満のものも道路として認めています。こうした道路に敷地が2m以上接していないと、建物は原則として建てられません。これを「接道義務」といいます。