初期費用はどれほど必要か
1.準備する貯金はどれほど必要か
マイホ-ムは非常に高価な買い物ですから、手持資金で全額支払える人は滅多にいません。当然、不足分は住宅ロ-ンを利用することになります。マイホ-ムの購入を決断したならば、準備できる頭金(自己資金)と自分の支払い能力からみた住宅ロ-ンの総額を把握することが必要です。 この金額が掴めれば、購入できるマイホ-ムの総額が自ずと決まります。 住宅購入後もゆとりある生活を営むには、購入価格の30%程度の頭金を用意しておきたいものです。2.意外とかかる諸費用
資金計画を立てる場合に注意しておきたい点が、入居時までにかかる売買代金以外の諸費用です。引渡しを受けて自己名義の登記をする際には、登録免許税や司法書士等への報酬が必要です。 ほとんどの住宅ロ-ンでは、連帯保証人を立てる代わりに住宅ロ-ン保証を頼む仕組みになっていますから、ローン保証料が必要になります。 引越しにも相応な費用が必要となります。諸費用は購入する住宅などの条件によって異なりますが、一般的に住宅価格の5~8%程度と言われています。資金計画はどう考えるか
1.毎月の返済可能額から借入総額が求められる
住宅ローンの年間返済額は、年収の25%から30%以内(年収に占める住宅ローンの割合を返済負担率といいます。)に収めることが重要とされています。これは、ローンの支払いが困難にならないためのひとつの目安です。 また、借入金がほかにもあるときは、その分の住宅ローンの返済分に加えた実際の返済割合を確かめることが大切です。 フラット35の場合では年収に対する全ての借入れの年間返済額の合計の割合(総返済負担率)が年収別の基準(年収により25%から40%)以下であることが必要です。なお、民間の金融機関では独自にそれぞれの基準を設けていますから、詳細は窓口やパンフレット等で確認してください。例)フラット35の審査基準
年収600万円のサラリーマンの(フラット35以外の借入れがない)場合 年収600万円の場合は総返済負担率は35%ですから年間返済額の上限は 600万円×35%=210万円 よって、毎月の返済額の上限は 210万円÷12=175,000円 になります。毎月の返済額 | 返済期間 | 金利 | 借入限度額 |
---|---|---|---|
175,000円 | 35年 | 2.8% | 約4,680万円 |
3.3% | 約4,350万円 |
2.購入できる総額を試算してみる
購入できる総額を簡単に試算するには次のような2つの方法があります。(1)用意できる頭金から購入総額を割り出す
ローンを利用する場合、一般的な融資額は物件価格の80%が適切とされています。購入代金以外にかかる諸費用に充当する資金を除いて、仮に物件価格の20%相当額である800万円の頭金が用意できるとすれば、購入できる物件の総額は、[頭金の額÷0.2]の計算式で求められることになります。 つまり、800万円÷0.2=4,000万円と算出されます。 ただし、上記4,000万円から準備済みの頭金800万円を差し引いた3,200万円を住宅ローンに依存することになりますので、借入金融機関の基準を満たしているかどうかの検討が必要となります。※フラット35の融資限度額は物件価格の90%までです。(2)ローン利用可能額計算から割り出す
『毎月の返済可能額から借入総額が求められる』で学んだローン利用可能額計算は、自分の収入状況からみた借入可能額ですから、その金額に用意できる頭金相当額を加算した金額が購入できる物件の総額になります。 例えば、月額返済額175,000円、金利3.3%、35年返済の場合、約4,350万円の借入ができます。これに用意できる頭金800万円を加えると、約5,150万円という金額になります。 しかし、この数値が直ちに購入総額と結論づけることは早計です。この金額の20%相当額は1,030万円で、現在用意できている頭金では不足するからです(一般的に安全に住宅ローンを返済するための融資額は、物件価格の80%程度といわれています。よって、頭金は20%必要ということになります)。効果的な住宅資金の貯蓄方法と贈与などを受け取るときの注意
1.財形住宅貯蓄を始めよう
サラリーマンの方にとって最もポピュラーな住宅資金の貯蓄方法です。財形住宅貯蓄は給与天引きで積立てが可能で、積立て額も少額で設定できます。積み立てた元金と利息が550万円になるまでは、利息については非課税で、一年以上財形貯蓄を続け貯蓄残高が50万円以上であれば、貯蓄残高の10倍、最高4,000万円まで(住宅取得価格の90%が限度)の融資が受けられます。2.親などから贈与を受ける場合の贈与税
(1)住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例
相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税をいったん支払い、その後の相続時に贈与を受けた財産と相続財産とを合計した価格で計算した相続税から既に支払済みの贈与税を控除する制度です。なお、この特例は平成26年12月31日までの贈与に適用されます。 この相続時精算課税制度において、自分の居住用の住宅を取得する資金または増改築のための資金の贈与を受ける場合に限り、65歳未満の父母からの贈与についても適用され、2,500万円までが非課税枠となります。 ※本来の相続時精算課税制度では、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与のみが認められます(平成26年12月31日までの贈与の場合)。